USAのファット・ポッサム・レコードから、3面開きデジパックでのリリース。ザ・ウェザー・ステイションは、オンタリオ州トロント出身のシンガー・ソング・ライター(SSW)兼女優、タマラ・リンデマンの音楽ユニットで、女優活動ではタマラ・ホープの名前も使う。15歳の頃から映画やTVドラマに出演、カナダでは女優としてかなり知られた存在で、08年からウェザー・ステイション名義で音楽活動を開始、08~11年にはブルース・ペニンシュラにも参加した。本作は、22年にリリースされたセクス・アルバムで、メンバーは、ヴォーカル&ピアノのタマラを核に、ライアン・ドライヴァー、クリスティーヌ・ブジー、タニア・ジル、カレン・ンー、ベン・ホワイトリー等が適時参加、タマラとジャン・マルタンの共同プロデュース。ジャジーなくぐもり感が全面を覆う、非常に内省的なサウンドを展開していて、淡い郷愁感を内包するアンバーな情感とブリティッシュ&ヨーロッパ的な湿った質感が交叉。ピアノ弾語りスタイルのタマラを軸に、曲によってラップ・スティール・ギター、ウッド・ベース、オルガンや、フルート、クラリネット、サックス等の管楽器が絡むアンサンブルは、ともかくも的を射たシンプルさで無駄がなく、語り調と囁き調が同居するタマラのシンギングも素敵。わりと似たような落ち着いた曲調が多く、それが結果として静謐なドローン感を生んでいて、全体が映画的な美しい情景に収束する様はともかくも見事。タマラによると、前作「イグノランス」と本作は、太陽と月、コインの表と裏のような位置付けとのことだが、時間の流れと空気の色が変わる心地好い好盤と思う。
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輸入盤
(Folk&Folk Rock/SSW,Jazz,Progressive / Digi-Pack CD(2022) / Fat Possum Records/USA)