ニュー・ジーランド/EUのセイフ・ハーバー・レコーディングスからのリリース。ナディア・リードは南島ポート・チャーマーズを拠点とするシンガー・ソング・ライター(SSW)で、14年にニュー・ジーランドのセイフ・ハーバー・レコーディングスからファースト・アルバム「リッスン・トゥ・フォーメイション〜」を自主制作盤でリリース後、25年までに4枚のアルバムをリリースしている。本作は、そのファーストの15年EUリリース盤で、10曲目のボーナス曲は自主制作盤にも収録されていたようだ。クレジット・メンバーは、ナディア、サム・テイラー、リッチー・ピッカード、ジョー・マッカラム(ex.トリプレッツ,etc)、アニタ・クラーク(ex.ラガマフィン・チルドレン,etc)の5人、プロデュースはベン・エドワーズ。概ね、それ程しつこくないカントリー色が基調のフォーク系サウンドを展開していて、全体的には緩やかな木漏れ日感が支配的だが、曲によってポスト・ロック/オルタナティヴ系のハードネスを織り交ぜた感じの曲もある。少しアンニュイなニュアンスが内包された、アンバーな声質のナディアのシンギングは、アシッド・フォーク的な浮遊感と涼やかな透明感が同居していて、ウィスパーではないが歌い上げ過ぎない、どこかクールさが担保された湿った質感が心地好い。例えば、70年代の日本のニュー・ミュージック辺りにも近似する印象で、適時リヴァーブのかかったギターを軸に、ボーカルに寄り添うシンプルなアンサンブルのハマりもよく、淡い郷愁感がくぐもり感に収束する好盤と思う。
輸入盤/デッドストック入荷
(Folk&Folk Rock/SSW,Folk,Post Rock / Jewel-case CD(2015) / Safe Harbour Recordings/New Zealand,EU)