UKのメリー・ホプキン・ミュージックから、見開きデジスリーヴでのリリース。メリー・ホプキンはウェールズ出身の女性シンガーで、『アップル・レーベルの歌姫』として「悲しき天使」等のヒットで知られるビッグ・ネーム。本作は、20年にリリースされた新作で、13年「ペインティング・マイ・ナンバーズ」以来7年振りのソロ名義アルバム。メリーのアコースティック・ギターまたはピアノ&キーボードの弾語りスタイルを基本に、曲によってエンジニア兼任のクリスチャン・トーマスのベース、ジェシカ・リー・モーガンのギター&サックスが適時入る。概ね、しっとりと落ち着いたフォーク調で、無理のない澄んだメリーのボーカルが、優しく流れる美しいサウンド。楽曲も演奏も派手さはなくいたって普通ながら、適度なリバーヴを効かせた瑞々しいギター&エレピに乗せて、ちょっと懐かしい感じの哀愁と落ち着きのあるメロディが、ともかくも淡々と響き渡る。曲によっては、メリー本人とジェシカによるハーモニー・コーラスや、リズム・プログラミングが薄く入るが、ベースやサックスも含めシンプルで涼やかな手作り感十分のアンサンブル。日常生活の断片を織り込んだ歌詞と、コーヒー・ブレイクのふとした瞬間に浮かんだメロディなどで綴った作品とのことで、強いインパクトはないが流していて素直に心地好い好盤と思う。
輸入盤
(Folk&Folk Rock/Folk / Digi-Sleeve CD(2020) / Mary Hopkin Music/UK)