UKのハドソン・レコードから、3面開きデジスリーヴでのリリース。カリーネ・ポルワートはスコットランドのバンクノック出身の女性シンガー・ソング・ライター(SSW)で、スティーヴ・バーン、マーク・ダンロップ等とともに98年にマリンキーを結成、2枚のアルバムをリリース後脱退、03年にソロ活動に転じた。デイヴ・ミリガンはおそらくエジンバラ出身のピアニストで、コリーナ・ヘワットとのバチュエやケルティック・ビッグ・アンサンブルのジ・アンユージュアル・サスペクツやストリング・シスターズの他、自身のトリオやコリン・スティールのクァルテットなどのジャズ畑でも活動している。本作は、21年にリリースされた(只今のところ)デュオ名義ファースト・アルバムで、メンバーは、ボーカルのカリーネ、ピアノのミリガンの2人を中心に、1曲でスティーヴン・デーズリーがハーモニー・ボーカルで参加、カリーネとミリガンの共同プロデュース。2人がアレンジしたトラッド、カリーネのオリジナル、2人の共作に、スコットランドのマイケル・マラやアラスデア・ロバーツ、カナダのケイト&アンナ・マッギャリグル、アメリカのリチャード・ファリーニャなどのSSWのカヴァーを交えた構成。ピアノをバックに淡々と歌うスタイルだが、カリーネのボーカルに的確に寄り添いつつも、いわゆる弾語り的伴奏とは一味違うミリガンのピアノが秀逸で、アンバーなくぐもり感と曲が主役で前に出ない感じが同居するトラッド的佇まいのボーカルが映える。全体にシンプルで美しく、空気の色と時間の流れが変わる静謐なサウンドの好盤と思う。ともかくも、どの曲も余韻が素晴らしい。
輸入盤
(Folk&Folk Rock/SSW,Trad,Folk/ Digi-Sleeve CD(2021) / Hudson Records/UK)