国内のアルカンジェロから、500枚限定ペーパースリーヴでのリシュー。紙ジャケ仕様、21年新規リマスター盤。ジェニー・ソレンティはナポリ出身のカンタウトーレ(シンガー・ソング・ライター)で、何よりプログレ系リスナーには、サン・ジュストでの活動とアラン・ソレンティの実妹として知られていると思う。本作は、76年にイタリアEMIハーヴェストからリリースされたソロ名義ファースト・アルバムで、邦題は「溜め息」、リリック・インナーバッグ入、ライナーは岩本晃一郎。メンバーは、ジェニー、ピーノ・ダニエーレ、ジョルジオ・ピンジキス、ルーチョ・ファブリ(ex.PFM,etc)、ピーター・カウコネン(ex.ルーサン・フリードマン,etc)、トニー・ヴェルデ(ex.サン・ジュスト,etc)、フランチェスコ・フランチカ(ex.ラコマンダータ・リチェヴータ・リトルノ,プロセッション,etc)の7人を基本に、曲によってクレジットにはないブラス隊が入る。概ね、ポップス方面のボーカルもの路線というか、もしその線を想定していたのなら、サン・ジュスト時代の妙な浮遊感とハミだし具合がある程度担保されたボーカルや、流暢だが場違いな弾きまくりタイプのエレキ・ギター、地中海音楽色を内包したマンドリン&アコギ等々が、ある意味楽曲のポップネスを台無しにしていて、プログレ調アレンジの煮え切らなさも満点。この、『洗練されたポップス』路線と『サイケなハミ出し感』のミスマッチが、ともかくも非常に面白くて味わい深く、ちょっと独特の田舎っぽさを堪能出来る。結果としてB級感十分の好盤と思う。
アルカンジェロ盤/限定500枚国内プレス(LTD.500 Japanese-pressing CD)
(Progressive/SSW,Psyche,Folk Rock,Pops / Paper-Sleeve CD(2021 Re-master) / Arcangelo/Japan)