スウェーデン/EUのPIAS/プレイ・イット・アゲイン・サムから、見開きデジスリーヴでのリリース。アリス・ボーマンはスウェーデンのマルメー出身の女性シンガー・ソング・ライター(SSW)で、10年頃からネットで個人的に曲を配信し始め、13年に5曲入EP「スキッサー」でデビューした。本作は、22年にスウェーデンのエイドリアン・レコーディングスからリリースされたセカンド・アルバムで、EU配給がPIAS。メンバーは、ボーカル&キーボードのアリスと、ベース、ギター、キーボード、ドラム、パーカス、プロデュースをマルチに熟すパトリック・ベリエル(ex.ビッチ・ホーク,etc)の2人を軸に、ニルス・トールンクヴィスト、ジュリア・リンクダール、ベン・バッビット、エレン・ペッテション、パフューム・ジーニアス(aka.マイク・ハドレアス)等々が曲によって適時参加。概ね、前作と同傾向のエレクトロ・アコースティック色内包のSSW系サウンドで、ドローン調が担保された空間にアンバーなアリスのボーカルが柔らかく溶け込む、非常に涼やかで落ち着いたサウンドスケープを堪能出来る。アリスの声はわりとキーが高いのだが、倍音の多い声質とアタックがボヤけたウィスパー・タイプのシンギングにより、カーンと響かず耳触りの丸い、前に出ない佇まいが担保されていて、ともかくも流していて心地好い。ホーンやギターの導入によって、幾分前作よりは彩りが増している印象もあるが、アンサンブル全体が線の細さに収束していく感じや、楽曲のドリーミーな私小説的内省感は逆に深くなっている感じ。例えば、ハニャ・ラニやエーフィア・デ・ヴィッサー辺りとも近からず遠からずの美しさで、空気の色と時間の流れが変わるアンビエントな好盤と思う。
輸入盤
(Folk&Folk Rock/SSW,Progressive,Electronics/ Digi-Sleeve CD(2022) / PIAS/Play It Again Sam/Sweden,EU)