UKのトーキング・エレファントから、06年UKキャッスル盤と同じリマスター音源&3面開きデジパック仕様でのリシュー。スティーライ・スパンは、アシュリー・ハッチングスとテリー・ウッズが中心となって69年に新たに結成されたグループで、ペンタングル、フェアポート・コンヴェンションと等とともに、ブリティッシュ・エレクトリック・トラッドを代表する存在として広く知られているビッグ・ネーム。69年の夏のキール・フォーク・フェスティヴァルで、フェアポートのハッチングスとスウィーニーズ・メンのテリーが出会い、共に新バンド結成を目指すことで意気投合、最初にジョニー・モイニハンとアンディ・アーヴァインを誘うが断られ、ボブ&キャロライン・ペグ夫妻、ドランスフィールド兄弟にもフラれて、最終的にマディ・プライア&ティム・ハートのデュオが承諾、テリーの奥さんのゲイ・ウッズを加えてやっと結成に至る。本作は、71年にUKのB&Cからリリースされたセカンド・アルバムで、メンバーは、前作からのマディ(ex.シリー・シスターズ)、ハート、ハッチングスの3人に、辞めたウッズ夫妻の代わりに御大マーティン・カーシー(ex.ウォーターソンズ,etc)とピーター・ナイトを加えた5人編成、プロデュースはサンディ・ロバートン。底知れぬギスギス感の中世的暗さと重さを放つ、エレクトリック・トラッド文句なしの好盤で、1曲目の「ブラックスミス」で完全にノックアウトされる。この、トラッド然としたくぐもり感と哀愁は、エレクトリック・トラッドの中にあっても十分に特異で、張りつめた緊張感を放つ演奏と相俟って、強いインパクトで胸に深く染み込む。カーシー加入の相乗効果は非常に大きいと思われ、全体に神懸かり的な凛とした雰囲気が漂っていて、「ブラックスミス」の他にも「ボーイズ・オブ・ベドラム」、「フォールス・ナイト・オン・ザ・ロード」、「ラヴリー・オン・ザ・ウォーター」等々の、著名トラッド・チューン群の迫力はちょっと尋常ではない。本当に素晴らしい!。
輸入盤
(Trad&Folk/Electric&British Trad / Digi-Pack CD(2016 '06Re-master) / Talking Elephant/UK)