UKのイーストワールドからのリシュー。特にリマスター表記はないが、音質はクリアになっている。本作は、89年にUKデ・ミ・モンデ/マグナムからリリースされたデヴィッド・アレンとマザー・ゴングの連名アルバムで、マザー・ゴングとしては「ワイルド・チャイルド」に続く作品。メンバーは、ジリ・スマイス、ハリー・ウィリアムソン(ex.ニック・ターナーズ・スフィンクス,etc)、ロバート・カルヴァート(ex.キャタピラ,etc)、コンラッド・ヘンダーソン、ロバート・ジョージの5人編成が基本で、曲によってアレン、ティム・エアーズ、ワンダーナが適時参加。フクロウと巨木の物語をモチーフとした、トータル・コンセプト的な大人のお伽噺作品で、メロディアスで美しい楽曲を、ジリの優しさと妖しさが同居するウィスパー・ヴォイス、アンバーなサックスとスペイシーなキーボード群、ジャジーなリズム隊で心地好く展開。どのナンバーも何より楽曲がよく、奇跡的な聴きやすさを放っていて、カンタベリー的なジャジーで丸い感触の演奏と絶妙のマッチングを見せる。全体にフワ~っと包み込まれるような浮遊感があって、明らかにある種のトリップ・ミュージックなのだが、ギラギラした妖しさやゴング系のユーモラスさは影を潜め、むしろエレガントさがいい塩梅で漂う。正しくサイケな楽曲とアレンジ、上等な演奏による心地好さはともかくも絶品で、全体に雰囲気抜群で濃密な大好盤と思う。少なくとも80年代以降の最高作ではないだろうか。素晴らしい!。
輸入盤/デッドストック入荷
(Progressive/Jazz Rock,Psyche,Canterbury / Jewel-case CD(2009) / Eastworld/UK)