スペインのアマールクセから、見開きデジスリーヴでのリリース。トム・ペナガンは、ジン、オルゴン等で活動するフランス人ギタリスト兼マルチプレーヤーで、本作は12〜20年における未発表音源集。24年ファースト「トム・ペナガン」以前のレコーディング・アーカイヴ集で、ファースト同様にギター、キーボード、ベース、ドラム、テープ・コラージュ等々、全てペナガン1人によるレコーディング。随所にファーストに繋がる萌芽が散りばめられているが、ハットフィールド&ザ・ノースとナショナル・ヘルス、スティーヴ・ヒレッジとヒレッジ在籍時のゴング辺りのカンタベリー色をトレースしている印象で、わりとエッグやカーン、ギルガメッシュ等々の要素も織り込まれていたファーストとは趣を異にする。ジョン・グリーヴスとビル・マコーミックを足して割ったようなベース、ピップ・パイルに少しだけビル・ブルーフォード的要素を混ぜたようなドラム、ヴィンテージ機材を使ったキーボード群のデイヴ・スチュワート感は、どこからどう聴いてもカンタベリー然としていて、そこにヒレッジ調の流暢なギターが適時絡む。どのパートもそれなりに高水準で全体のバンド感も十分、結果として後期ナショナル・ヘルスにヒレッジが参加したかのようなアンサンブルは、ともかくも面白くてカッコいい。この、ヒレッジやナショナル・ヘルス方面のカンタベリー感を軸としたサウンドは、ファースト同様にカンタベリー系愛好家ならまずもって楽しめるだろう好盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Canterbury,Jazz Rock,Psyche / Digi-Sleeve CD(2025) / aMARXE/Spain)