カナダのミント・レコードから、ペーパースリーヴでのリリース。オンリー・ア・ヴィジターはブリティッシュコロンビア州バンクーバー出身のグループで、ロビン・ジェイコブ(ex.ザ・ギビング・シェイプス,etc)が中心となって14年頃に結成されたらしい。本作は、23年にリリースされたおそらくフィフス・アルバムで、メンバーは、ロビン、セリーナ・カーツ、エマ・ポストル、ジェフ・ガモン(ex.シンプル・シティ,ラスト・アーク・アウト,etc)、ケヴィン・ロマイン(ex.シンプル・シティ,スプリング,etc)の5人編成が基本で、曲によってレコーディング・エンジニアのジョセフ・ヒラバヤシが適時ゲスト参加。概ね、カンタベリー的なエレガントさが担保された、クラシックとジャズ・ロックの狭間をいくようなアート・ポップ調サウンドというか、ジェントル・ジャイアント的で複雑なアレンジの女性3人ハーモニー・コーラスと、耳触りの丸いピアノ&キーボード、ベース、ドラムが交叉。アンバーで美しいハーモニー・コーラスは、例えばナショナル・ヘルス辺りのノーゼッツのそれをもう少しポップかつイモっぽくしたような印象で、全体のくぐもり感も含めちょっと独特の室内楽的ニュアンスを放つ。アンサンブルの中心は、全作曲も手掛けるロビンのボーカル&ピアノなのだろうが、他の2人のコーラスとリズム隊の的を射た上等さや、キャッチー過ぎずアングラ過ぎずのメロディアスな楽曲、シンプルだが一捻りあってよく練られたアレンジも相俟って、ともかくも非常にカンタベリー調のくぐもり感を堪能出来る。プログレ系愛好家にはあまり知名度はないかも知れないが、その線としていい塩梅に味わい深く、けっこう掘出し物的な好盤と思う。素敵!。
輸入盤
(Progressive/Canterbury,Chamber Music,Jazz Rock / Paper-Sleeve CD(2023) / Mint Records/Canada)