イタリアのアルトロックから、見開きデジスリーヴでのリリース。国内のベル・アンティーク/マーキーが輸入盤にオビ・解説を付けた国内流通盤。インナー・イアー・ブリゲイドはサン・フランシスコ出身のグループで、00年代前半に結成され05年に4曲入EPを1枚自主制作でリリースしている。本作は、17年にリリースされたセカンド・アルバムで、12年のファースト「レインブロ」から5年振りの作品。メンバーは、前作からのメロディ・フェリス、ビル・ウォルター、アイヴァー・ホロウェイの3人に、新たにステファン・ライト、クリス・ラウフの5人を軸に、前作にゲスト参加していたアンドリュー・ヴァーノンの他、曲によってキーボード、トランペット、タブラ等のゲスト参加がある。前作に比べ、ハットフィールド・アンド・ザ・ノース/ナショナル・ヘルス的要素が後退して、ザッパ的要素がかなり増している印象で、ブラスの使い方や変拍子の織り交ぜ方など、70年代のジャズ・ロック期のザッパが基調という感じ。ところでしかし、エレガントなメロディとコードの響きや進行、女性ボーカルのノン・ヴィブラート感など、カンタベリー色はテイストとして担保されていて、ザッパ色と洗練されたマッチングを見せる。さらに、全体のクラブ的『踊れる感』は、当世風ラウンジ感がメンバー達のセンスの中にバックボーンとしてあって、このオシャレな洗練感はその辺りからも紐解けるかも知れない。それ程取っ付きやすくはないが、凝ったアレンジと濃密なアンサンブルは上等で、聴き込むと味わいが増すタイプの好盤と思う。
マーキー盤
(Progressive/Symphonic,Jazz Rock,Canterbury / Jewel-case CD(2017) / Belle Antique,Altrock/Japan,Italy)