UKのクリサリス/アルカードから、本作制作時のアウトテイク1曲をボーナスで加えての、ステxーヴン・ウィルソンによる24年新規リマスター&リミックス、見開きデジスリーヴでのリシュー。ジェントル・ジィアントは、元サイモン・デュプリー&ザ・ビッグ・サウンドのシャルマン3兄弟を軸に、70年にロンドンで結成されたグループで、変拍子とポリリズムを多用する独自のスタイルを確立、現在でも一定の人気と知名度を保つビッグ・ネームの1つ。本作は、77年にUKクリサリスからリリースされたテンス・アルバムで、メンバーはデレク・シャルマン、ゲイリー・グリーン、ケリー・ミネア、レイ・シャルマン、ジョン・ウェザースの5人編成。1曲目の「2・ウィークス・イン・スペイン」からノリもよく流暢にリズムが流れて行き、2~5曲目のポップな印象で語られることが多いが、他はかなりトリッキーな変拍子ナンバーが多く、斉藤千尋氏の言葉を借りれば、『ここまでトリッキーなのにポップであるというのはすでに芸』。ミネアのジェントリなボーカルが映える6曲目は、非常に雰囲気のよい珠玉のポップ・プログレ方面で、いわゆるカンタベリー調のアンバーで湿った質感が、エレガントなポップネスに収束する様は素直に心地好い。続く7曲目の「メモリーズ・オブ・オールド・デイズ」は、ジェントル・ジャイアントの楽曲群の中では異質な抒情ナンバーだが、美しい12弦ギターのアルペジオの重なりが淡い郷愁感へと収束する佳曲で、この2曲が本作のハイライトといえるかも知れない。ともかくもかなりの好盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Symphonic,Pops,Canterbury / Digi-Sleeve CD(2024 Re-master&Re-mix) / Chrysalis/Alucard/UK)