UKのイーストワールドから、12年新規リマスターでのリシュー。音質はクリアかつ迫力もあってよい。ジェントル・ジィアントは、元サイモン・デュプリー&ザ・ビッグ・サウンドのシャルマン3兄弟を軸に、70年にロンドンで結成されたグループで、変拍子とポリリズムを多用する独自のスタイルを確立、現在でも一定の人気と知名度を保つビッグ・ネームの1つ。本作は、70年にUKヴァーティゴからリリースされたファースト・アルバムで、メンバーは、デレク・シャルマン、ゲイリー・グリーン、ケリー・ミネア、レイ・シャルマン、フィル・シャルマン、マーティン・スミスの6人編成、プロデュースはトニー・ヴィスコンティ。管・弦楽器の多用と楽器の持ち変え、変拍子を交えた複雑なアレンジと楽曲、凝ったコーラスワークなど、すでにジェントル・ジィアント的なるものは本作においてある程度は完成されているが、ヴァーティゴ的なアングラ感やブリティッシュ的イモっぽさと相俟って、洗練されていくセカンド以降とは多少異なる味わいを放つ。その意味ではまだ未完成とも云えるのかも知れないが、だからこそジェントル・ジィアント的なるものへの途上が浮き出ていて、結果として非常に興味深く面白い。変拍子に聴こえない「アルカード」や「ジィアント」、ライヴの定番「ファニー・ウェイ」、珍しくアバウトな展開の「ホワイ・ノット」などなど、全体に荒削りだが素直にカッコよく、これはこれで十分に楽しめる好盤と思う。何はともあれジェントル・ジィアントの原点。
輸入盤
(Progressive/Symphonic,Psyche,Pops / Jewel-case CD(2012 Re-master) / Eastworld/UK)