スペインのアマールクセから、3面開きデジスリーヴでのリリース。フルグロマティクは、ポール・コッセとランスロ・リオの、2人のフランス人マルチ奏者によるデュオ・ユニットで、21年の結成以降、精力的なライヴ活動の中でフルートとシンセ・ベースのオート演奏システムを自作で開発、2人で数多の楽器を操るマルチ・バンド・ユニットとしてけっこう話題を呼んでいるらしい。本作は、25年にリリースされた(只今のところ)ファースト・アルバムで、メンバーは、エレピ、ピアノ、シロフォン、フルート、バンジョリン、パーカス、ボーカルのコッセ、ドラム、パーカス、シロフォン、シンセ、ピアノ、ギター、シンセ・ベース、ボーカルのリオのデュオ。概ね、どこかユーモラスで可愛らしい、事故前のロバート・ワイアット的なキャラクターが見え隠れするジャズ・ロック調サウンドを展開していて、ブルース色の薄いエレガントな宙吊りメロディ&コード、アイデア豊富で複雑なアレンジ、2人の変態マルチ奏者振りを遺憾なく発揮したアンサンブルが、わりと絶妙のバランスで交叉。例えば、ソフト・マーシンのファーストとセカンド、マッチング・モウルの2枚、ワイアットのファースト・ソロ辺りのカンタベリー感が、ゴッタ煮で同居しているような印象。レーベルからの案内文程には、マグマやカイロワ方面のズール色は強く感じないが、そのあたりの要素も適時内包はされていて、ポスト・ロック基調のカンタベリー系として、存外に楽しめる面白いサウンドと思う。
輸入盤
(Progressive/Post Rock,Jazz Rock,Canterbury / Digi-Sleeve CD(2025) / aMARXE/Spain)