スペインのアストロノミー・レコーディング・ミュージックから、見開きデジスリーヴでのリリース。ゾップは、イギリス人マルチプレイヤーのライアン・スティーヴンソンと、イタリア人ドラマーのアンドレア・モネタ(ex.レヴィアサン,スプレンドレ,etc)が、10年頃からコツコツとレコーディングしていたユニットで、ノッティンガムシャーとダービーシャーのスティーヴンソンのホーム・スタジオを拠点としてるようだ。本作は、24年にリリースされたライヴ・アルバムで、タイトル通り23年11月26日のレスター・ダンフェスティヴァルでのライヴ音源を収録したもの。メンバーは、前述のスティーヴンソンとモネタに、22年セカンド「ドミニオン」にゲスト参加していたロブ・ミルネの他、リチャード・ルーカス、アシュリー・レイノールを加えた5人編成。1,3,5曲目が「ドミニオン」、2曲目が20年ファースト「ゾップ」からの曲、4曲目は只今のところアルバム未収録の未発表曲で、アイデア過剰気味の小難しいアレンジを、ノリのよいアンサンブでわりと涼しげに展開していて、スタジオ盤の閉じた緻密さとはまた少し趣を異にする味わい。楽曲のエレガントなコード感や、浮遊感フレーズのニュアンスはほぼそのまま担保しつつ、複雑で手の込んだ変拍子&ポリリズム混じりのアレンジを、かなりスッキリした形で成立させていて、勢い十分の演奏は素直にカッコいい。スタジオ盤ではトホホ感が優っていたスティーヴンソンのリード・ボーカルも、それほど違和感なくハマっていて、ともかくも濃密な好ライヴ盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Canterbury,Jazz Rock / Digi-Pack CD(2024) / Astronomy Recording Music/Spain)