ドイツのペイズリー・プレスから、25年リマスターでのリシュー。多分初CD化。マスター・シリンダーはテキサス州のフォート・ワース出身のグループで、ジョー・ロジャースが中心となって70年末頃に結成されたらしい。本作は、81年にUSAインナー・シティ・レコードからリリースされた唯一のアルバムで、メンバーは、ロジャース、ロバート・アトウッド(ex.テックス・トーマス&ザ・ダングリン・ラングラーズ,etc)、ジャック・カーター、エディ・ダンラップの4人編成を基本に、ビル・エデン(ex.ファイヤーワーク,etc)、ボブ・プライス、アート・デイヴィス(ex.シカゴ・ジャズ・オーケストラ,etc)、ブルース・バレンティン、スコット・モーガンが曲によって適時ゲスト参加、プロデュースはロジャース(ダンラップとモーガンがアシスタントでクレジット)。概ね、カンタベリー・テイストのジャズ・ロック&プログレと呼べるインスト・サウンドを展開していて、フィル・ミラー・ライクなギターやリチャード・シンクレア・ライクなベースは、わりとモロにハットフィールド・アンド・ザ・ノース的で、ドラムのせっかちさもピップ・パイルぽかったりする。エレガントな宙吊りコード感やアレンジのプログレ感、ゲスト陣の管楽器群の美しさなどなどもハットフィールド調なのだが、全曲の作曲とアレンジを担当するロジャースのキーボードが、デイヴ・スチュワートとは一味違うテクニカルな涼やかさを放っていて、その意味ではハッピー・ザ・マン辺りにも近からず遠からずの印象。曲によってはフランク・ザッパ感もあって、非常に濃密で上質な好盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Canterbury,Jazz Rock / Jewel-case CD(2025 Re-master) / Paisley Press/German)