USAのサンデイズド・ミュージックから、マット紙&3面開きデジスリーヴでのリシュー。ジプシーは、ミネソタ州出身のジ・アンダービーツを母体として、69年にロサンジェルスで結成されたグループで、何より「ジプシー・クイーン」のシングル・ヒットで知られているかも知れない。本作は、71年にUSAメトロメディアからリリースされたセカンド・アルバムで、メンバーは、前作からのエンリコ・ローゼンバウム、ジェームス・ジョンソン、ジェームス・ウォルシュの3人に、新たにウィリー・ウィークス、ビル・ローダン、ジョー・ララを加えた6人編成、プロデュースはクラーク・バロウズ。概ね前作の延長線上にあるスワンプ&ラテン・ロック系サウンドを展開していて、新メンバー達の達者さも手伝ってかバンド感の増した熟れた演奏には、いわゆる16ビート的洗練感が顕われている印象。炸裂系の派手なサウンドではなく、アコースティック・ギターも使ったメロディアスで聴かせる方面のタイプで、例えばサンタナのようなバリバリのハードネスが好きな人には物足りないかも知れないが、ジャジーで古き良き懐かしさのあるサウンドは、雰囲気もよくてけっこうカッコいい。ブルースを基調としながらも、ラテン調のリズム、ウエスト・コースト的フォーク・ロック色やメロディアスさ、サザン・ロック的スワンプ色、少々のサイケ風味が混在していて、相変わらず煮え切らなさはB級感も十分。演奏は上手くて楽曲も悪くなく、アメリカン・ラテン・ロック系の好サンプルの1つという感じで、ともかくも心地好く楽しめる好盤と思う。この後ローダンは、スライ&ファミリー・ストーンを経てロビン・トロワーのバック・バンドへ、ウィークスはダニー・ハサウェイのバック・バンドへ。
輸入盤
(Blues&Swamp/Blues,Latin,Psyche / Digi-Sleeve CD(2023) / Sundazed/USA)