カナダのユニディスク・ミュージックから、98年新規リマスターでのリシュー。ディリンジャーはケベック州トロント出身のグループで、ジャック&ロベールのハリソン兄弟が中心となって73年に結成されている。本作は、76年にカナダのダッフォディルからリリースされたセカンド・アルバムで、メンバーは前作と同じジャック、ロベール、ポール・コックバーン、テリー・ブラムホールの4人編成、プロデュースはフランシス・デイヴィス。ハード・ロックとジャズ・ロック&プログレの折衷サウンドだった前作に比べ、わりとハード・ロック寄りにシフトしていて、その意味では概ねハード・ロックと呼べる印象のサウンド。楽曲はキャッチーさも洗練感も増してしていて、管楽器やメロトロンも交えたプログレ的アレンジもある程度担保されているが、ハード調のリフやフレーズが全体の印象をハード方面に収束させている。スプーキー・トゥースの「トゥー・タイム・ラヴ」とビートルズの「タックス・マン」という、著名曲のカヴァー2曲を冒頭に持ってきて掴みを狙ったのかも知れないが、その2曲も含め時折ファンク色も加味されたノリのよい演奏はわりと素直にカッコよく、オルガンのキレのよいドライヴ感も変わらずに上等。濃密でドラマティックな盛り上がりを見せるアンサンブルも熟れていて、カナディアン・ハード系の掘出し物的好盤と思う。本作後バンドは解散、ジャックとコックバーンはマックス・ウェブスターのポール・カージーと共にザ・ハントを結成、ロベールはオッフェンバッハへ。
輸入盤/デッドストック入荷
(Blues Hard/Progressive,Blues / Jewel-case CD(1998 Re-master) / Unidisc Music/Canada)