UKのユニバーサル/UMCから、本作収録曲の未発表別ミックス1曲をボーナスで加えての、15年新規リマスターでのリシュー。音質はクリアで迫力もあってよい。スプーキー・トゥースは、カンブリア州カーライル出身のザ・ヴィップスから発展したアートを母体として、マイク・ハリソン、ルーサー・グローヴナー、グレッグ・リドレー、マイク・ケリーのアートの4人に、アメリカ人のゲイリー・ライトが加わる形で67年10月にロンドンで結成された。日本では今一つ影が薄い存在のようだが、ハプシャッシュ&ザ・カラード・コート、ハンブル・パイ、スリー・マン・アーミー、パリッシュ&ガーヴィッツ、メインホース、フォリナー等々、数多の関連バンドを持つブリティッシュ・ロックのビッグ・ネームの1つ。本作は、73年にUKアイランドからリリースされたセクス・アルバムで、基本的に15年リリースのUK&EUユニバーサル盤9CDボックス・セット「ジ・アイランド・イヤーズ 1967-1974」のバラ売りと思われる。メンバーは、ハリソン、ライト、ケリー、ミック・ジョーンズ、クリス・スチュワートの5人編成で、ケリーはスリー・マン・アーミーやパリッシュ&ガーヴィッツを経ての出戻り再加入。前作同様に深くて重いワビサビの効いた、ジャジー&ソウルフルなブリティッシュ・ブルース&ハードを展開していて、数少ないフリー・タイプのサウンドとして非常に上等かつ上質な1枚。この、粘っこいブルージーさや陰りのあるヘヴィネス、くぐもり感は、いかにもブリティッシュ的なイモっぽい味わいで、ザ・バンド的なスワンプ感やソウル&ファンク色も隠し味として感じられるが、巷でいわれる程アメリカンなテイストは強くない。このバンド、何も「タバコ・ロード」や「イヴィル・ウーマン」だけではなく、ともかくも文句なしのカッコよさを放つ味わい深い好盤と思う。ハリソンは00年の再結成で元気な姿を見せたが、18年3月に他界してしまった。カッコよし&合掌!。TESオビ・解説/人脈図付
輸入盤
(Blues Hard/Heavy Blues,Psyche,Soul / Jewel-case CD(2016 '15Re-master) / Universal/UMC/UK,EU)