UKのウィチタ・レコーディングスから、デジパックでのリリース。メグ・ベアードはニュー・ジャージー州出身の女性シンガー・ソング・ライター(SSW)兼マルチ奏者で、エスパーズ、ヘロン・オブリビオン、ウォータリー・ラヴ、妹のローラとのベアード・シスターズ等々の他、07年からはソロ活動も始め、現在はサン・フランシスコを拠点にメアリー・ラティモア等との共演なども並行して行なっている。本作は、15年にUSAドラッグ・シティ/UKウィチタからリリースされたソロ名義サード・アルバムで、メンバーは、メグとヘロン・オブリビオンの僚友チャーリー・ソーフリー(ex.アッセンブル・ヘッド・イン・サンバースト・サウンド,etc)の2人。概ね、60~70年代感十分のアシッド・フォーク調サウンドを展開していて、DADGAD方面の変則チューニング内包のギターを軸としたアンサンブルに、ウィスパー系の線の細いボーカルが浮遊するスタイル。適時オルガンやピアノ、パーカスなども装飾的に織り交ぜ、ドリーミーな空気感を担保しつつ全体が淡い情感に収束していく感じは、似たようなコード感の楽曲群も相俟って、ある種のドローン的埋没感満点。ポポル・ヴーでのコニー・ファイトのようなリヴァーブ&ボリューム奏法ギターや、バシュティ・バンヤン、マリー・スー方面の倍音の多いメグの声のシンギング、アパラチア地方のトラッド的要素をフォークにフィードバックしたようなレトロなサイケ感の組合せはともかくも絶妙。ニュー・ヨーク・タイムズが本作を『ポスト・フォーク』と評したらしいが、確かにロックの耳に心地好いフォーク調サウンドとして、正しくサイケで涼やかに美しい好盤と思う。素晴らしい!。
輸入盤/デッドストック入荷
(Acid Folk/SSW,Psyche,Trad / Digi-Pack CD(2015) / Wichita Recoedings/UK)