EUのシティ・スラングから、デジパックでのリリース。ジェシカ・プラットはカリフォルニア州サン・フランシスコ出身の女性シンガー・ソング・ライター(SSW)で、07年頃からフェイスブックに自身の曲を投稿するなどの地道な活動を経て、ティム・プレスリー(ex.ダーカー・マイ・ラヴ,ホワイト・フェンス,etc)が設立したバース・レコードから12年にデビューした。現在は、ロサンジェルスのノース・ハリウッドを拠点に活動しているらしい。本作は、19年にUSAメキシカン・サマーからリリースされたサード・アルバムで、本盤はEU/ヨーロッパ盤。メンバーは、ギターやオルガンの弾語りスタイルのジェシカと、ピアノ、フルート、オルガンのアル・カールソンを軸に、曲によってマシュー・マクダーモット(ex.ハラング,etc)、ウィル・カンゾネリ(ex.ダーカー・マイ・ラヴ,etc)が適時参加、ジェシカとカールソンの共同プロデュース。概ね、しっとりと落ち着いたアシッド・フォーク調サウンドを展開していて、ピアノ、ギター、フルート辺りを軸としたシンプルなバックに、少女っぽさが担保された甘めの声で舌っ足らずに歌うジェシカのボーカルが、ふわふわと儚げに浮遊。ゆるゆるで肩に力が入っていない感じのアンサンブルだが、無駄がなくスッキリと涼やかで、全体のリヴァーブ感も綺麗にハマっていて、アンバーなくぐもり感が内省的な淡い情感に収束する感じは見事。空気感や雰囲気の演出だけでは成立しない、個の存在感がリアルに感じられるサウンドで、流していて非常に心地好い好盤と思う。この柔らかい夕暮れ感と孤独感の同居は、例えばヴァシュティ・バニアンやシビル・ベイヤー辺りにも近似する印象。
輸入盤
(Acid Folk/SSW,Folk,Psyche / Digi-Pack CD(2019) / City Slang/EU)