UKのサイエンス・フリクションからのリシュー。ロイ・ハーパーはマンチェスター出身のシンガー・ソング・ライター(SSW)で、路上でブルースを弾語りながらヨーロッパを放浪した後、65年頃からロンドンのフォーク・クラブで歌うようになり、66年にファースト・アルバムをリリースした。現在でも、ピンク・フロイドやレッド・ツェッペリンのメンバーの他、ケイト・ブッシュやジョニー・ライドン等、多くのミュージシャン達からリスペクトを受ける、ブリティッシュ・フォーク&ロック界の孤高の存在。プログレ系リスナーには、フロイドの「葉巻はいかが」のリード・ボーカルで知られているかも知れない。本作は、71年にUKハーヴェストからリリースされたフィフス・アルバムで、07年新規リマスター音源、邦題は「ストームクック」。メンバーは、ギター弾語りスタイルのハーパーを軸に、曲によってセント・フラヴィウス・メルクリウス、デヴィッド・ベットフォードが適時参加、メルクリウスはジミー・ペイジの変名、プロデュースはピーター・ジェナー。ゆったりとしたさざ波のような弾き語り的ナンバー「心は離れて」、ペイジの上等なギターが絶妙な「セイム・オールド・ロック」、12弦ギターを使ったギター・アンサンブルがこの上なくカッコいい「ワン・マン・ロックンロール・バンド」、ベッドフォードの哀愁のオーケストレーションが冴え渡る「ミー&マイ・ウーマン」の全4曲。全体に、最早プログレの範疇ともいえる独特のサウンドを創り上げていて、アンバーな情感十分の上等なギター・アンサンブルも含め、全作品中カッコよさでは一番かも知れず、ともかくも雰囲気抜群で非常に濃密。郷愁と浮遊感が美しさに収束する心地好いサウンドで、確実に時間の流れと空気感が変わるブリティッシュ・アシッド・フォーク系大好盤と思う。本当に素晴らしい!。オーストリア・プレス盤。TESオビ・解説付
輸入盤
(Acid Folk/Psyche,Progressive,SSW / Jewel-case CD(2023 '07Re-master) /Science Friction/UK,Austria)