UKのシーリー・コート・デジタルから、マット紙見開きデジスリーヴでのリシュー。21年新規リマスター盤、380枚限定プレス。モーニング・フェイズはおそらくリヴァプール出身のグループで、71年に唯一のアルバムと思われる本作をレコーディング、UKエデン・レーベルでテストプレス盤を25枚程制作するが結局一般リリースに至らず、88年頃に発掘レーベルのUKキッシング・スペルがテスト盤を再発見、スペインに移住していたリーダーのマイク・コンを探し当てて94年に再リリースしたという経緯らしい。メンバーは、コン、ジョイ・クラブトリー、オーウェン・ナイト、マーティン・サルネイの4人編成。オリジナル・テスト盤LPは、50~100万円程度の値が付く著名コレクターズ・アイテムらしいが、わりとキラキラ系の6&12弦アコギのストロークと丸いベース、シスコ・サウンド系統の男女リード・ボーカルに、エレキ&アコギのリードやフレーズが適時絡む、概ねアシッド・フォーク調サウンドを展開。暗くはないが能天気な明るさでもない、ブリティッシュ然としたアンバーないなたさがある程度担保されていて、ヒッピー系のアングラなサイケ感とシスコ・サウンド系のメインストリーム色が、結果として妙なバランスで同居。全体に、アレンジや演奏の細部にツメの甘さや素人臭さが残る印象だが、メロディアスな楽曲は悪くなく演奏も水準はクリアしていて、当時のおおらかさが滲み出る空気感も浮遊感十分。今回、オリジナル・テスト盤とは異なる『セカンド・オリジナル・スリーヴ(71年に制作されていた別のスリーヴらしい)』も素敵で、オリジナルLPのプレミアム云々は置いておいても、この線の愛好家なら問題なく楽しめる内容と思う。
輸入盤/限定380枚プレス
(Acid Folk/Folk,Folk Rock / Digi-Sleeve CD(2021 Re-master) / Seelie Court Digital/UK)