UKのフレッジ・リングから、01年新規リマスター&デジパックでのリシュー。インクレディブル・ストリング・バンド(ISB)は、ロンドン出身のクライヴ・パーマー(ex.ザ・フェイマス・ジャグ・バンド,C.O.B.,etc)が、ウィズ・ジョーンズとのパリまでのバスキング旅行から帰国後にスコットランドのエジンバラに移住し、そこで知り合ったロビン・ウィリアムソンとデュオ活動を開始、そこにマイク・ヘロンが加わる形で65年に結成された。本作は、66年にUKエレクトラからリリースされたファースト・アルバムで、メンバーは、前述のウィリアムソン、ヘロン、パーマーのトリオ編成、プロデュースはジョー・ボイド。トラッドを基調に、独特のストレンジ・テイストのあるアシッド・フォーク的サウンドを展開していて、マーティン・カーシーやボブ・ディランなどのそれまでのフォーク・ミュージックとは、明らかに趣きを異にするインパクトが感じられる。8割がオリジナル・チューンで、主にギター、ヴァイオリン、マンドリンを使ったシンプルなバックにボーカルが入るスタイルだが、何故がトラッドの持つ独特のギスギスした雰囲気や、超然とした伝承感が背後に感じられ、くぐもっていて前に出ない感じと、湿った中世暗黒感も放つ特異なサウンド。そのままのトラッドでもアシッド・フォークでもないけれども、両方の要素が奇妙なバランスで融合した結果、唯一無比の個性の創出に成功したという印象で、確実に時間の流れと空気の色が変わる、正しくサイケで超然とした好盤と思う。この特異さは本作だけのもので、ヘロヘロのストレンジ色が強くなっていくセカンド以降とはまた違う味わい。ブリティッシュ・トラッド&アシッド・フォーク愛好家は要チェックかも知れない。
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輸入盤
(Acid Folk/Trad,Psyche,Strange / Digi-Pack CD(2010 Re-master) / Fledg'Ling/UK)