UKのシーリー・コート・デジタルから、マット紙見開きデジスリーヴでのリシュー。21年新規リマスター盤、380枚限定プレス、多分初CD化。デイヴ・キールはグラスゴー出身のシンガー・ソング・ライター(SSW)で、71年にロンドンに出てファーク・クラブを中心に活動、76年のファースト以降10年までに5枚のアルバムをリリース、現在もマイペースで活動中のようだ。本作は、76年にUKフォークランドから自主制作盤としてリリースされたファースト・アルバムで、オリジナルLPはけっこうなプレミアムのコレクターズ・アイテムらしい。全編キールのアコースティック・ギター弾語り、プロデュースはレーベル・オーナー兼マネージャーのテオ・ジョンソン。概ね、初期ジョン・レンボーン辺りに近似するスタイルというか、達者なフィンガリングのギターとクッキリしたボーカルが、アシッド・フォーク調のアングラな内省感に収束。例えば、バート・ヤンシュ程バタ臭くはなく、ステファン・グロスマンやウィズ・ジョーンズ程スワンピーでもなく、かといってそれ程トラッド色も強くない感じで、ギターの饒舌さやボーカルの素直さ、アングラ過ぎない全体の木漏れ日感などなど、やはり初期レンボーン系統のタイプという印象。トラッドをアレンジした2曲のジグ・メドレー以外はキールのオリジナルで、突出した強いインパクトはないが、上等で安定したギター弾語りは流していて心地好く、この線としては悪くないサウンド。そういえば、ボーカルの歌い回しも含め、ロイ・ハーパーのファースト辺りにもちょっと似た空気感かも知れない。
輸入盤/限定380枚プレス
(Acid Folk/Folk,SSW,Trad / Digi-Sleeve CD(2021 Re-master) / Seelie Court Digital/UK)