UKのエソテリック・レコーディングスから、71年のマキシシングル3曲(アルバム未収&シングル・バージョン)と未発表曲1曲の計4曲をボーナスで加えての、18年新規リマスターでのリシュー。ミルトンの仮面劇、またはローマ神話の快楽と音楽の神の名を冠するコウマスは、ロンドンのブロムリー地区出身のグループで、美術学校の生徒だったロジャー・ウットンとグレン・ゴーリングが中心となって69年に結成されている。71年と74年に2枚のアルバムをリリース後解散するが、08年に再編復活して、08年ライヴ盤、12年スタジオ新作、09年ウットンとリサ・オ・ピウの共演ライヴ盤をリリースした。本作は、71年にUKドーンからリリースされたファースト・アルバムで、メンバーは、ウットン、ゴーリング、ボビー・ワトソン、アンディ・ヘラビィ、コリン・ピアソン、ロブ・ヤングの6人編成、プロデュースはバリー・マーレイ。ブリティッシュ・ロックの流れの中に於いて極めて特異な位置にある、フォーク、トラッド、プログレ、サイケ等々の様々な要素が絶妙のバランスでハイブリットされた、容易なカテゴライズを拒む唯一無比のサウンド。この、逆目の木片に鉋をかけるような独特な引っ掛りのある楽曲群は、アシッドの香りや中世的暗さと重さ、そして妖しさに支配されていて、詩も曲も人間の心の奥底に潜む『狂気と闇』を強く意識しているという印象。例えばサード・イアー・バンドと同じ耳で聴くべき方面というか、「ソング・トゥ・コウマス」や「ドリップ・ドリップ」の醒めた狂気、「ヘラルド」の幽玄さと美しさは他に類を見ない。およそ文句なしの大好盤と思う。ボーナスも含め素晴らしい!。EUプレス盤
輸入盤
(Acid Folk/Psyche,Progressive / Jewel-case CD(2018 Re-master) / Esoteric/UK)