UKのシーリー・コートから、テクスチャー紙見開きデジスリーヴでのリシュー。おそらく320枚限定プレス、多分初CD化。アードヴァークはスコットランドのハイランド地方出身のグループで、山奥の農場で共同生活をしていたヒッピーたちのバンドというかユニットらしい。ボドキンでも知られるUKウエスト・レーベルでアセテート盤を制作したが、2枚しか現存せず50万円の値が付いたこともあるという、知る人ぞ知るブリティッシュ・フォーク系のレア・アイテムで、勿論オルガン・アートロック系のアードヴァークとは同名異バンド。本作はそのレア盤のCD化で、23年のメンバーのインタビューと歌詞を掲載したブックレット入。メンバーは、デヴィッド・ウォー、キャメロン・ファーガソン、リチャード・ダウのトリオ編成で、ギターとヴァイオリンを主軸としたスワンピー&ルーラルなバックに、わりとしっかりしたボーカル&ハーモニー・コーラスが乗っかるスタイル。朗々と歌い上げるという感じではないが、すっきりと通りのよいリード・ボーカル、ストローク主体の堅実なアコースティック・ギター、フィドル的田舎っぽさのヴァイオリンのメロディが、リラックスしたセッション風のアンサンブルの中で、わりとノリノリで展開される。時折ヴァイオリンに代わるフルートやオーバーダブのベース、曲間の挿入されるバグパイプの小曲が、それなりにアクセントになってはいるが、結局全体がヒッピー方面のレイドバック感に収束。この線のフォーク・ロック系としては普通に真っ当で、フォーク系マニアならチェックしてみてもいいかも知れない。尚、中スリーヴには72年にレコーディングされたとあり、謎は残る。
輸入盤/限定320枚プレス
(Acid Folk/Psyche,Folk,Swamp / Digi-Sleeve CD(2024) / Seelie Court/UK)