イタリアのヘヴィ・サイケ・サウンドから、3面開きデジパックでのリリース。エミール・ビュオーはおそらくコペンハーゲン出身のシンガー・ソング・ライター(SSW)で、ザ・ソニック・ダウンでの活動でも知られているかも知れない。本作は、23年にリリースされたセカンド・ソロ・アルバムで、ソロ活動はエミール名義のようだ。メンバーは、ボーカル、ギター、ベース、キーボード等々&プロデュース兼任のエミールを核に、曲によってソニック・ダウンの僚友ヨナス・ヴォーベンの他、エリク・ペタション(ex.シエナ・ルート,etc)、ラスムス・ミーヘ・セアンスン、モーテン・グレンバッド等が適時参加。概ね、エミールのアコギ弾語りスタイルを軸とした、フワフワ&プカプカのアシッド・フォーク調サウンドを展開していて、ゆるやかな木漏れ日系の情感が淡々と続くドリーミー系の様相。適時エレキ・ギターやオルガン、ヴィブラフォン、パーカス等を織り交ぜたアンサンブルは、的を射たシンプルさで無駄がなく、呟き混じりで鼻歌調のボーカルの脱力感のハマりも十分。全体に暗過ぎず明る過ぎずで、丁度いい塩梅の内省感を内包した楽曲が、シンプルなアンサンブルとともにドローン感にも収束していて、煮え切らなさと寸止め感が味わいを生んでいるタイプ。背後に見え隠れするサイケなプログレ色も含め、特段どうってことはないのだがともかくも流していて存外に心地好く、しっとりとほっこり出来る好盤と思う。基本、耳とセンスで勝負している感じだが、実はヘロヘロ過ぎず、細部はちゃんと練って作ってあることの妙かも知れない。その意味では、初期ジェード・ウォリアー辺りにも通底する印象。
輸入盤
(Acid Folk/Psyche,Blues,Progressive / Digi-Pack CD(2023) / Heavy Psyche Sounds/Italy)