USAのライオン・プロダクションからのリシュー。特にリマスター表記はないが、音質はクリアでよい。エムティディは、カナダ人のドリー・ホルメスとイギリス人のマイク・ハーシュフェルドが、69年にロンドンで結成したデュオ・グループで、結成直後にドイツに渡りベルリンを拠点に活動した。本作は、72年にドイツのピルツからリリースされたセカンド・アルバムで、確か邦題は「芽生えの時」。ボーカル、オルガン、ピアノ、メロトロン、スピネッタ等のドリーと、ギター、ベース、シンセ、フルート、ヴィブラフォン等のマイクを軸に、曲によってディーター・ディルクス(エンジニア兼任)のパーカスやベースが入る。プロデュースはロルフ・ウルリッヒ・カイザー。ドリーミーで適度な哀愁のある、メロディアスなアシッド・フォークを展開していて、1曲目のエレキ・ギターや6曲目のエレピのダメダメ感も含め、ヘタウマな演奏や空気感が味わい深いという、ある意味では典型的なドラッグ・ミュージック方面。12弦がメインのキラキラしたアコースティック・ギターと、ドローン調オルガンやメロトロンが織りなすプカプカした空間に、ドリーの儚い女性ボーカルや、ピアノ、フルート、シンセ等が風のように吹き抜ける様は素直に心地好く、ベタな哀愁系の楽曲のメロディアスさは悪くない。時折ベースやパーカスも交えて盛り上がったり、シンセ中心の垂れ流しインプロになったりもするが、アコギやオルガンはけっこうしっかりしていて、結果としては十分に流していられる。雰囲気を楽しむタイプのサウンドという印象で、素敵なスリーヴも含めその意味では十分に涼やかで正しくサイケな、浮遊感満点の好盤と思う。
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輸入盤/デッドストック入荷
(Acid Folk/Progressive,Psyche / Jewel-case CD(2008) / Lion Productions/USA)