国内のシンク!・レコードから、限定ペーパースリーヴでのリリース。紙ジャケ仕様。キャットバグは、ブリュッセル近郊のテルビュレン出身のシンガー・ソング・ライター(SSW)、ポーリン・イリス・ロンドーのソロ・ユニットで、アントワープの音楽院を卒業後、17年からアントワープ郊外のウェストマール村で有機農業に従事しながら音楽活動を開始した。本作は、24年にリリースされたサード・アルバムで、邦題は「ムシェメーシャ」、ライナーは山本勇樹、ポーリン本人による曲解説訳付。メンバーは、ボーカル&ギターのポーリン、ピアノ、バーンスリー、フルート、ベースのアイコ・デフリエント、ベース&ギターのルーカス・ソマーズの3人、ポーリンとデフリエントの共同プロデュース。概ね、しっとりと涼やかなアシッド・フォーク調サウンドを展開していて、暗過ぎず明る過ぎずの淡い情感と的を射たシンプルさの素朴なアンサンブルが、非常にいい塩梅のマッチングを見せる。「タゲリ」、「ハヤブサ」、「サギ」、「ウグイス」、「スズメ」「アオガラ」などの曲名の通り、農場周辺でのバードウッチングで観察した鳥たちをモチーフとしたアルバムで、「ムシェメーシャ」とは、オランダ語のスズメとアオガラを組み合わせた造語らしい。ともかくも落ち着いた佇まいの楽曲、前に出過ぎないアレンジ、倍音の多いくぐもった声、囁き感内包の柔らかいシンギングなどなどが、アンバーな空気感と浮遊感に収束する、ともかくも流していて心地好いサウンドスケープ。いわゆるヴァシュティ・バニアン方面のアシッド・フォーク系として、時間の流れと空気の色が変わる好盤と思う。素敵!。
シンク!・レコード盤/国内プレス盤(Japanese-pressing CD)
(Acid Folk/SSW,Folk / Paper-Sleeve CD(2024) / Think! Records/Japan)