フランスのアナザー・レコードから、見開きデジスリーヴでのリリース。ベス・オブ・ベドラムは、オデッセイ&オラクルのファニー・レリティエとギヨーム・メディオニのデュオ・ユニットで、14年に6曲入EPCD「ベス・オブ・ベドラム」をリリース後、オデッセイ&オラクルと並行して断続的に活動している。本作は、19年にリリースされたファースト・アルバムで、メンバーは、前述のファニー・とギヨームのデュオ編成。キーボード、ギター、ベースを軸としたローファイ調のシンプルなアンサンブルに、少しアンニュイで舌っ足らずタイプの女性ボーカルが乗っかるスタイル。アシッド・フォーク調の淡い木漏れ日的情感を基調に、トイ・ポップ調の可愛らしさや脱力ポップネス、「白日夢」以降のロバート・ワイアット的ストレンジ感が適時交叉する感じで、全体がフワ~っとしたドリーミー系の浮遊感に収束。その意味では、いわゆるソフト・ロック系の緩いサイケ感も担保されていて、その辺りはオデッセイ&オラクルとも通じるかも知れない。ところでしかし、ラスト曲のカトリーヌ・リベロのカヴァーも含め、全体のサウンドメイキングのセンスがブリジット・フォンテーヌからジャズ色を抜いたような印象で、シンプルながらアレンジも演奏もちゃんとしていて面白い。2人ともワイアットとケイト・ブッシュが好きだそうで、その辺りとの関連ありやなしやの隠し味的に見え隠れするプログレ感も含め、ともかくも涼やかで流していて心地好い。楽曲のしつこくないキャッチーさのハマり具合もいい塩梅で、案外と楽しめる好盤と思う。
輸入盤
(Acid Folk/Psyche,Folk,Toy Pop,Progressive / Digi-Sleeve CD(2019) / Another Record/France)